【Vol. 06】みんなで描いた鳳凰図

輪旅第六弾、今回の舞台は“墨田みどり保育園”。
過去に葛飾北斎最晩年の大作“大鳳凰図”を題材にした卒園制作に取り組んだことのある保育園です。
制作されたものは“五色絢爛極楽霊鳥出現北斎鳳凰図ごしきけんらんごくらくれいちょうしゅつげんほくさいほうおうず”と名付けられ、すみだマイスターである片岡さんによって見事な屏風へと姿を変えました。
園児たちは一体どんな様子で制作に臨んでいたのでしょうか。
当時の担任の先生にお話を伺いました。

子どもたちにも人気な“すみだ北斎美術館”

今回のゲスト「黒羽先生」

ふとめ:葛飾ふとめ
ぎょろめ:ぎょろめの
ふとめぎょろめ:輪になって北斎!
ぎょろめ:この輪旅も第六回目になりました。今日はすみだ北斎美術館から歩いてすぐの所にある“墨田みどり保育園”にお邪魔しています。
ふとめ:お邪魔しております!

ぎょろめ:本日、お話をお伺いするのは墨田みどり保育園の若くてヤングな…
ふとめ:とにかく若いのは分かったよ!
ぎょろめ:はい!ご紹介しましょう、黒羽先生です!よろしくお願いいたします。
黒羽先生:よろしくお願いします。
ふとめ:よろしくお願いします。
ぎょろめ:本日お話をお伺いしますが、大抜擢された今のお気持ちはいかがですか?
黒羽先生:緊張してます。
ぎょろめ:さっきまで園長先生にお願いしようとしてましたからね。
一同:(笑)

黒羽先生のお話を聞くふとぎょろ

ぎょろめ:では、早速お聞きします。すみだ北斎美術館が2016年11月22日に開館して早くも来場13万人を突破し、年間目標の20万人に近づいています。保育園では美術館に遊びに行かれましたか?
黒羽先生:はい。この前、年長絵画教室の際に絵画の先生や園長先生と一緒に大体17人くらいで行きました。保育園で以前描いた鳳凰図が美術館に展示されているとお聞きして遊びに行ったのですが、その時はなくて…。
ぎょろめ:話が違うじゃないかと!
一同:(笑)

作品鑑賞時のこどもたちについて話す黒羽先生。

黒羽先生:鳳凰図がなかったのでそのまま美術館で作品鑑賞しましたね。鑑賞した後には図書室にも寄って、それぞれ好きな絵を探しました。
ぎょろめ:美術館の展示作品の中で子どもたちに人気だった作品はありましたか?
黒羽先生:はい。常設展順路の最後に展示されている作品の「富士越龍図」が人気でしたね。一見、雲が立ち込んでいるように見えるけれど実はそれが龍だったというのが子供たちの心をくすぐったのか、人気がありました。
ぎょろめ:めちゃめちゃ渋い作品ですよね。
ふとめ:北斎が亡くなる直前に描かれたといわれる作品ですよね。
黒羽先生:はい。子供たちと会話しながら鑑賞していて「雲かな?でもよく見たら目があるね。龍になってるね!」って発見があったんです。楽しみながら鑑賞していて、とても人気がありました。
ぎょろめ:北斎が亡くなる間際の作品に魅了されるとは本当に渋いですね。
ふとめ:ここの保育園の絵画教室の題材が葛飾北斎ですもの。それはセンスがいいはずですよ。

「須佐之男命厄神退治之図」

ぎょろめ:目の付け所が違いますね。黒羽先生は何か気に入った作品はありましたか?
黒羽先生:私もその「富士越龍図」が素晴らしいなと思ったんですが、あの常設展の出入口にある…。
ふとめ:ほら、ぎょろめ言えるでしょう?
ぎょろめ:「須佐之男命厄神退治之図」ですね?
一同:(笑)
黒羽先生:はい。最初は作品の中に描かれている病気の神様の絵が怖かったんです。ですが、同伴された絵画教室の先生が「病気を治してくれる神様」だよと教えてくださると、怖いイメージから前向きなイメージに変わって好きになりました。
ぎょろめ:手洗いしないと強面の神様がやってくるよって言えるかもしれないですね。
ふとめ:うまく活用するのね(笑)

子どもたちと鳳凰

五色絢爛極楽霊鳥出現北斎鳳凰図

ぎょろめ:「渋い作品を好むセンスのいい墨田みどり保育園の子どもたちですが、以前卒園制作で描かれた“五色絢爛極楽霊鳥出現北斎鳳凰図”はどんな経緯で制作されたのですか?」
黒羽先生:その時に在園していた園児がとても元気で活発な子たちだったんです。それで、絵画教室の先生がその活発な様子にマッチする北斎の作品を選んでくださいました。今まで子どもたちは波とか富士山の定番作品には慣れ親しんでいたのですが、その鳳凰図を参考に見せたときはその色使いに驚いていました。たくさんの色を使うこともできるので卒園制作の題材としてすぐに決まりました。
ぎょろめ:年齢ごとにやっぱりキャラクターが違うから、その時の子供たちはきっと鳳凰図の派手な色使いに自分たちと重なる部分を感じたのかもしれないですね。
黒羽先生:そうかもしれないですね。

屏風に変化する経緯を話す黒羽先生

ぎょろめ:描いた作品を屏風にしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
黒羽先生:はい。毎年、年長クラスだけ絵画教室を行っているのですが、共同制作で地域の方が協力してくださっています。鳳凰図の時は屏風店の方が協力してくださったのがきっかけですね。描いた絵が屏風やタペストリーになったりと、毎年異なる作品ができあがります。

ぎょろめ:記念として残りますし、描いた絵をちゃんと仕立ててくださると園児たちも喜びそうですね。
黒羽先生:そうですね。目標は卒園式で飾ることで、仕立てあがった作品の前で卒園証書を受けとるのが毎年恒例となっていますよ。
ぎょろめ:自分たちが作った作品が飾られて、その年だけのセットになる特別感。楽しい!
ふとめ:ね!それはセンスがいいわけですよ。墨田みどり保育園すごい!

みんなで描いた鳳凰図

ぎょろめ:鳳凰図の大きさが高さ2m21cm×幅4m80cmで、保育園内にある他の卒園制作と比べるととてもダイナミックですよね。鳳凰図の時は特別に大きかったのでしょうか?
黒羽先生:その年の園児の人数や題材などによって変えたりしているんですが、鳳凰図の時は今まで一番大きな紙を使って描きましたね。
ぎょろめ:その時はやっぱり人数が多かったんですね?
黒羽先生:そうですね。人数が多かったのもあります。人数が多いと、2作品作るときや1作品に時間をかけて作るときもありますし、その年によって違いますね。

細部まで描かれている鳳凰

ぎょろめ:なるほど。私たちはイベントなどで鳳凰図を見るのですが、本当に細かいところまでみっちり描きこまれていますよね。何人くらいで制作に臨んだんですか?
黒羽先生:その時は17人くらいで描いていましたね。

ふとめさんが年長絵画教室を体験

ぎょろめ:描き込みがすごくて、途中で大人がかなり手を加えたんだと思ってたよ。
ふとめ:あれね、本当にすごいよ。私もこの前絵画教室を体験させてもらって分かったんだけれど、絵画教室の先生が「北斎の線をよく見て。細かいでしょう。呼吸を止めて集中して描いてごらん」って言うんですよ。集中して描く子どもたちの表情が本当に印象的だった。

細かく描いているのが分かります。

ぎょろめ:そうなの!?子どもの絵画教室って割とアバウトな感じかと思い込んでいたんですが、かなりこだわって取り組んでいるんだね。
ふとめ:最初の色塗りはそれこそ盛大に絵の具をつかって塗るんだけれど、仕上げにかかる線を引く時は様子が変わって集中していたよ。あれはビックリした。

和やかな雰囲気

ぎょろめ:修行ですね。ふとめはできたの?大丈夫?
ふとめ:もうクタクタだったよ。
一同:(笑)
ぎょろめ:制作に取り組む中で子どもたちもかなり成長しそうですね。
黒羽先生:そうですね。絵の具や筆などを借りるといったときには何がいつ何故必要なのかをきちんと絵画教室の先生と話して作業する様になっていますよ。
ぎょろめ:ただ単にやりたいことをやるのではなくて、コミュケーション能力も育てているんですね。会社の新人研修みたい。
ふとめ:はっはっはっは!

ぎょろめ:ふとめでさえ、主語がなくて会話に困るときがたくさんありますからね。
ふとめ:それでぎょろめが上手くフォローしてくれるんですよ。
ぎょろめ:もう墨田みどり保育園に通わせてもらいなさいよ。
一同:(笑)

自分で選ぶ北斎の作品

黒羽先生:自分で作品を選ぶというところが子どもたちもすごく好きで、その絵が難しくても好きだから完成させたいという気持ちが強くなって毎回真剣に取り組みますね。
ぎょろめ:そんな気持ちがあるから最後までできるんですね。

想像を掻き立てる北斎

ぎょろめ:それでは最後の質問です。黒羽先生から見て葛飾北斎の人物像や作品などで好きな点があれば教えて下さい。
黒羽先生:ええと…
ぎょろめ:顔かな?
一同:(笑)
ふとめ:恐らく違うでしょう!

黒羽先生:あまり詳しくないので上手く言えないんですけれど、絵の描き方とか色の使い方とか線の太さが作品によってまるで違って、その時の心情とか環境が作品に表れているのかなあと想像を掻き立てられるんですよ。そんな風に思わせてくれるところが好きですかね。

黒羽先生、ありがとうございました!

ぎょろめ:私もそうなんですが、北斎のバックグラウンドといったものを想像しながら鑑賞すると楽しいですよね。もっともっと子供たちが葛飾北斎を身近に感じてくれるように私たちも頑張ります!黒羽先生、本日はどうもありがとうございました。
ふとめ:ありがとうございました。
黒羽先生:ありがとうございました。

つながる

墨田区

恒例の「人つながる墨田区」ポーズと記念写真で幕を閉じた輪旅わたび第六弾。
一度見たら忘れられないダイナミックな作品の制作秘話を伺いました。
子どもたちの気持ちがつまった作品ですから、北斎もきっと感動しているかもしれませんね。
黒羽先生、墨田みどり保育園の皆様、貴重なお話をありがとうございました!
次回の輪旅は3月下旬を予定!
お楽しみに!

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